うつむいて顔がみえなかったけど、耳があかかった。 そんな気がするだけかもしれないけど。 きぃっ。 嫌な音をたてて、由宇の自転車がうごきはじめた。 「…ごめんね」 後ろをおいかけながら、つぶやく。 聞こえたのかわからないけど、信号まちの時に笑ってくれたから。 由宇の笑顔が見れたから。 あたしは、それでいい。