どれほど泣いたのだろう、竹内廉の腕で。
予想以上に優しい竹内廉の温もり。

泣き止んだ私は、ゆっくりと竹内廉から体を話した。

竹内廉は私の目についた涙を拭った。

「気が済んだか?」
と優しい言葉に私はゆっくりと頷いた。
「竹内廉って本当は優しいんだね」
と言うと、
「どういうことだよ」
とムキになり竹内廉が私の額をデコピンした。

「やっぱ撤回」
と竹内廉に向かって笑っている私が不思議で仕方ない。
ついこの間までは逞が好きで竹内廉を軽蔑していたのに。
本当、人生って分からないな。

「…ねえ、廉って呼んでいい?」
と聞くと竹内廉は意地悪な顔をして、
「廉様って呼べ」
と偉そうに言う。

「何それ」
と再び笑うと、
「嘘、廉って呼べ」
と優しく微笑んでくれた。


「帰るぞ」
と立ち上がる廉に釣られて私も立ち上がり廉の後ろをついて歩いた。

私は廉の自転車の後ろに遠慮がちに跨がった。

勢いよく自転車に乗った廉は漕ぐ前に急に私の手首を掴み自分の腰に強引に回した。

また私の胸がドキドキと言う。
…これは恋なの??
分かんないよ。