すぐ傍で聞き慣れた音が鳴り響いた。

私は、布団からゆっくり手を出して目指しを止めた。

しばらくベッドに横たわった。

昨日の事を思い出し学校行きたくないと思い悩んだが仕方なく行くことにした。


「舞~」
今日も元気な声。
いつも元気な葵が今日は一段と輝いて見える。
そして、羨ましくも思う。

「昨日の補習どうだった?」

葵は悪気が無いのだろうけど葵の何気ない一言は私の胸の奥深くに突き刺さった。
出来れば昨日のことは思い出したくはなかった。

「別に」

いつも通り、いつも通り。
そう思いながら声を発した。

「ふぅん。ってかリボンは??」

一瞬、ドキッとしたけど、
「なくした」
と咄嗟に思いついた嘘を言う。

ごめんね…、葵。
さっきから嘘ばっきりで。
でも、葵には本当のこと言えないの。
…だって葵は竹内廉の事が好きだから。

「あ、斎藤君っ」

葵は逞の姿を発見するやいなや、
「じゃ、お先~」
と言い走り去ってしまった。

「葵~」
本当、いつも勝手なんだから…。
でも、ちょっぴり感謝してるよ。