まぶたを通して光を感じる
周りに誰かの気配があった
多分さっきの奴らだろう・・・

5分ほど前、俺は屋上にいた
ある女子生徒が来るまでは・・・

「あなたは何をしてるの?」
話し掛けられるまでおれはその子に気がつかなかった
「誰?なんかよう?」
「ううん。なにも」
わけの分からないやつだった
特に興味も無かった俺はそのまま寝ようとした
「雄真くんも大変ね」
何言ってんだ?何で俺の名前を知ってんだ?
大変ってなんのことだ?
「親が離婚して、一人暮らしをして、誰も信用しようとしない」
全て事実だった

俺がまだ中学のときだった
親父が浮気をして離婚した
俺はおじの家に預けられた
母親は2度と俺の前には現れなかった
それから俺は誰とも親しくしていない

俺は怖くなり逃げようとした
だが逃げられなかった
そして意識を失った

「大丈夫?」
女子生徒が話し掛けてきた
「お前、名前は?」
とりあいず俺は質問してみた
「私?私は山本梓よ。あなたは?」
「工藤零」
こいつは俺の嫌いなタイプだった
「何で俺の事を知ってるんだ。」
俺は誰にも離婚の事も一人暮らしのことも
言った事は無かった
「何でだと思う?」
めんどくさい奴だ
「知らねぇ」
そう答えると相手は黙った
「誰にも言って無いのに、めんどくさい奴」
そう言われ驚いた
慌てて周りを見回した
だが、周りには誰もいなかった