「言わないから」



心を見透かされたみたいで、ドキッとした。


イワナイカラ。


それって、やっぱり――…



「今日の事は、あいつには内緒。だから、安心して」


わたしの気持ちを、考えてくれてるって事。



「彩人くん……」

「2人だけの秘密だから……それに」


「?」


「俺が勝手にゆんちぃを好きなだけだから。それだけだから、気にしないよーに」




どうして?

ねぇ、何でなの?


わたしなんかのために、そこまで言ってくれるのは――…



わたし、何も返せていないのに……。



「あー。もう天人の話はやめよう」

「え」


「せっかくのイイ雰囲気が台無しッ」

「あや……」


「次行こッ、次! マーメイド、だっけ?」

「え」



ドキン。
またも自然とつながれた手。


その温かい手から伝わる優しさ――。



この瞬間。


わたしの心の中に、とても小さな明かりが灯った。