「外した?」

問いかける彼女に
「大丈夫。一発で上手くいくわけがないさ」
と答えてさっき山鳥がいた辺りの落ち葉をなんとなくガサガサと、足場を均すようにかきわけてみた。

木の実とも種とも、植物の知識がたいしてない僕にはその判別がつかないが、鳥が餌としているようなものが散らばっていた。

「あ」

声を上げた彼女の視線の先に、まっ白い羽根の山鳥、というか、鳥がいた。

しかし僕が銃を向けた方向とはまるで違う。

「どうして」
つぶやく彼女に
「気絶かもしれない。銃の音で。何かの本で読んだことがある」
「そんなことあるの?」と答えの見えない会話をしながら、倒れていた白い羽根の鳥を抱きかかえた。

「足が変」

「ほんとだ」確かに足が不自然に曲がっているのがわかった。

「もしかして、自然に怪我でもして、しばらく前からそこに倒れてたんじゃない?」

彼女がそう言うと、閉じていた鳥の目が開いた。

人間に抱えられているというのに、まったくもがこうとせず、むしろ安心しているようにさえ感じられた。

 なんとなく、しばらく、無言の、ちょっと冷たい、でも優しい風が吹いて
「…ねぇ、やっぱり」僕が言おうとしたのを彼女が遮るように

「やめよう。その鳥は連れて帰りましょう。足を治してあげなきゃ」と言って、来た道を歩き出した。