僕のまっすぐな気持ちが伝わってくれたのか、彼女は言った。

「思い当たることはあるけど…」

「なんでもいいから、いってほしいんだ」

「アイナが他にも好きなものをあなたが作ってくれたら、喜ぶと思うわ」

「うん、ありがとう。それで、何がいいかな」

「えっと…クリスマスだから…チキン、とか…」


「え?…チキン?」


思いもよらぬ要望だった。

そりゃ彼女が慮るのも無理はない。

しかし、チキンとはなかなか入手困難な素材である。今から肉屋をかけめぐっても「そんな高級肉、急に言われてもうちじゃ扱ってないよ」と言われるのがオチである。

となると、僕の頭に浮かんだのは、さらに難易度を増しているようにも思えたが、試しに言葉に出してみた。


「山に、獲りに、行こうか…?」