どうやら、ほんのちょっぴり怠け者のレジ係が、昨夜たまたま裏口の鍵をかけ損ねたらしく、そのおかげでいとも容易く、泥棒たちはこの店に侵入できたようだ。

この報せが街を巡るのは早かった。

クリスマスイブにケーキができない。

人々の残念な顔が頭に浮かび、さらに具体的にはティナとアイナの顔が浮かび、いたたまれない気持ちになった。



ショックを隠せずに、落ち込んでいる僕に、ティナが声をかけにきてくれた。

「気の毒だったわね。でもあなたのせいじゃないわ。皆もわかってる」

「ありがとう。君は優しいね」

僕は顔をあげてティナを見つめた。

「でも、君とアイナの喜ぶ顔が見れないことも辛い」

ティナはちょっと困った表情になった。

「他に、クリスマスもアイナも祝える方法はないかな」