『…これで川島 良子ちゃんの家は終了だな…』


焦げ茶色のスーツを着込みサングラスをかけた男が呟きながらリストに書かれた【川島 良子 10歳:「人生計画の立て方 プレゼン社出版」】の脇に赤ペンでチェックをつける。


『しかしクリスマスプレゼントに本を頼むたぁ良子ちゃんは真面目だねぇ』


ふっ…とタバコの煙を吐きながら自らチェックを付けた名前を眺める男。

いやいやツッコむ所はそこじゃなくて10歳の子供が「人生計画の立て方」なんて本をチョイスしてる所だよ、とツッコまれそうなその男の頭には角が生えていた。

トナカイが生やしているような角だが、10分の1スケール位の大きさで車内では邪魔にならないようだ。生え際が見えるあたり地毛ならぬ地角なのだろう。


一般ピープルに見つかれば即刻NASAに通報されそうなトナカイ男は隣の助手席に座る相棒を見遣る。

その男は酷く落ち込んだ様子である。