「それじあ行ってくる」
黒いスーツをまとった旦那様があたしに笑顔を向ける。
次はいつ会えるかわからない。
でもそれでもあたしに出来ることは一つ。
「いってらっしゃい」
こうして笑顔で送り出してあげることだ。
「あぁ」
翔さんは少しあたしに近づくと小さなキスをひとつ落とした。
「寂しくなったらいつでも来てもいいから」
「来てもいいって・・」
「もちろん、ヘリに決まってるだろ?」
「イヤです!あたしもうアレに乗らないって決めたもん」
「君らしいよ」
こんな冗談を言い合うのもしばらくお預け。
でも前よりも寂しくない。
だってお互いの気持ちをちゃんとわかっているから。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい」