悪戯っぽい笑顔であたしに笑いかける翔さん。
「柚子、俺と一緒に地獄に落ちてくれるか?」
その質問に答えようとしたあたしに。
「その必要はないです」
ドアを開けて入って来たのは
「志保さん!!」
志保さんだった。
きっとテレビを見て心配になって駆け付けてきたんだろうな。
「ごめんね、柚子ちゃん。私知ってたの。柚子ちゃんと翔さんが結婚してた事」
入ってすぐに頭を下げる志保さんが
今度は申し訳なさそうな顔をしてあたしを見つめる。
「それにあんなことまで..本当嫉妬深い嫌なオンナだったよね?」
「そんな事..」
「でも気付いたの、翔さんがいつも想っているのは柚子ちゃんの事だけだったんだって。あの日、ホテルのレストランで会ったじゃない?」
「うん」
「レストラン入って一緒に食事してもちっとも私の話なんて聞いてくれなかったし。
ずーっとこんな顔してたんだから」
そう言いながら怒ったマネをする。
「それでね、気付いたんだ。あたしが入った所で何しても駄目なんだなって」
「でもあたしの家まで来て」
「あーアレは仕返し。だって負けたままなんて悔しいじゃない?」
そういう事だったんだ。
「でも..お仕事これからどうするの?」