「中村さん」
「ん?」
「あたし、もう大丈夫ですから」
本当言うと全然大丈夫じゃないけれど。
でもこれはあたしの問題だもん。
これ以上中村さんのお世話になる事は出来ない。
「そっか」
ぶっきらぼうに答えて外に視線を向けた。
「・・お元気で」
「それだけか?」
「それだけって?」
首を傾げるあたしに中村さんは再び視線をあたしに直して
「たとえば・・傍にいて欲しいとか?」
いきなりの言葉に一瞬驚いてしまうけれど
「あたしの事何とも思ってないくせに?」
「・・そうだな」
中村さんは一瞬驚いた顔を見せてからクスっと小さく笑うと
あたしの頭をぽんぽんと優しく撫でた。
「それじゃあ」
「はい」
家に車が着いて、降りようとしたあたしに後ろから抱きしめる。
「なか、むらさん?」
「お前はバカだ」
「・・あたしはバカですよ」
「そうだな」
困ったように笑うと今度こそ車から降りて中村さんと別れた。