「大丈夫?」
数日後、地元に帰ったあたしに一本の電話が入った。
相手は智香子さんだった。
「泣いてる?」
普段ならしっかりしなさい、なんて言われると思ったけど。
状況が状況なのか、優しくしてくれる。
「泣いてないですよ」
「そう。ごめんね」
「どうして?な、んで謝るんですか?」
「あたしの力不足のせいであなたから翔を取り上げるような形になってしまって」
「智香子さん」
「おじいさまのせいよ。本当に。本当にごめんなさい」
「い、いいんです。それにね、今回の事でよく分かったんです。
あたし、すごく子供でした。守ってもらってばかりで・・翔さんの役に立たない」
「そんなことないわ。翔はあなたの存在に何度も助けられたのよ」
「智香子さん」
「ありがとう、本当にありがとう」
翔さん。
あたしなんかが奥さんでごめんなさい。
本当に、本当にごめんなさい
ごめんなさい。