あたしは結局翔さんにとってなんだったんだろう?


ちゃんと愛されてたと思っていたのはあたしだけで。


もしかしたら最初から何とも..


ううん、違うよ

だって

「柚子」

あんな風に優しく呼んだりしないもん。

抱きしめてくれたりしないもん。

弱音吐いたりしないもん。


「あぁ、あたし駄目だなぁ」


思い出すのはいつだって優しくて

完璧な旦那様の事ばかり。


これじゃあ嫌いになんてなれないよ。



ふいに背中をぽんとたたかれ驚いて振り向く。

もしかして、なんて期待してたあたしは本物のバカだ。

「大丈夫か?」

瞳に移る中村さんは大きく歪んで見える。

「柚子?」

「あた、し・・」