たこ焼き屋さんを捜している中村さんに声をかけてみると。


「なんだ?」

辺りをキョロキョロしながらもちゃんと答えてくれる。


「中村さんって..あたしのこと本当は何とも思ってないでしょう?」


ずっと引っかかってたんだ。

中村さんのあの言葉。


「人は簡単に人を好きにならない」って言ってた事。


あたしと中村さんは正直に言ってそこまで仲良くもないし、

会話も今回事が起こる前は本当に少ししかしてなかった。


もし、中村さんの言葉が本心だとしたら..


「お前馬鹿そうなのに記憶力はいいんだな」

一瞬驚いた顔をしてからすぐに笑顔でそう答える。


やっぱり..

じゃあどうしてなんであんなこと翔さんに言ったの?


「中村さん」

あたしの言葉の続きがもう分かってるのか


「今は話せない」


中村さんははっきりと言った。


真剣な顔で

まっすぐあたしを見ながら。


「でもお前に興味があるのは本当」

「中村さん..あたしは」

「しっかり観察させてもらうよ。お前を・・いやお前達夫婦をな」

にやっと笑うとそのまま一人で歩いて行ってしまった。