龍也は相変わらず辛そうな顔をしていたが
気がつかないふりをした。
でも、龍也の携帯を見るとストラップが無い。
「ねぇ、龍也?私があげたストラップは?」
「…家に置いてあるよ。仕事で切れちゃうと嫌だから。
大切なものだから切れると困るから。」
明らかに様子が変だった。
それでも私は、龍也の言葉を信じていた。
「そろそろ時間だ。帰らなきゃ。」
私が言った瞬間、龍也が私に抱きついてきた。
そして、辛そうな顔をしてキスしてきた。
今までで1番長くて、気持ちの入ったキスだった。
この時、私は想像もしてなかったけど、
龍也はきっとわかっていたんだよね?
これが最後のキスで
龍也に抱き締めてもらうことも会うことも出来なくなることに…。
次の日の朝。
いつも着ているはずの龍也からのメールが着ていない。
私は心配になったから龍也にメールを送った。
しかし、返信は来ない。昨日は普通にメール返してくれたのに…。
私が何回メールしても返信は来ない。
電話しても、
<お客様のご都合で電話に出られません。>
音信不通になった。
龍也の友達に電話しても
最近仕事が忙しいみたいで連絡とっていないと言われた。
龍也と付き合って私は龍也への気持ちが
自分ではコントロール出来なくて
重く感じて振られた。
こう思った私は最後の賭に出た。
こんなメールを送った。
<私大好きだったし、信頼してた。
今もその気持ちゎ変わらないょ。
だからこそめんどくさくてしつこくし過ぎたみたぃ。
でももぅ今日で解放するね。
もぅ、気持ちが私に向いてなぃこともゎかってたけど、
必死にしがみついてぃくつもりだった。
でも想像以上に辛かった。
本気になりすぎたみたぃ。
こんな私と付き合ってくれてホントにぁりがとぅ。
カッコ悪いけどまだ、私のことまだ少しでも好きなら
今書いたことゎ全部取り消す。
ゃっぱ諦めきれないから私ゎ最後のかけにでます。
このメールだけはちゃんと返信して下さい。>
このメールの返信が9:30までにこなければ、振られたと認識します。
と添えて…
だけど、9:30になってもメールは来ない。
…私は振られたんだ。
<今までぁりがとう。
龍也は、私の初恋だったから恋愛の仕方がわからなくて
色々迷惑かけてごめんなさい。
でも、別れたいならちゃんとけじめはつけて欲しかった。
元気でね。>
最後のメールにするつもりだった。
このまま別れていたら、どんなに楽だったかわからない。
この別れ方だったら、友達に戻れていたかもしれない。
もう、関わりを一切もてなくなることは無かったかもしれない。
知らぬが仏とはこの別れの真実にぴったりの、ことわざに思えた。
龍也と音信不通になってから2日が過ぎた。
この日は日曜日で、昼前に起きると
着信履歴が7件…。
全部龍也だった。
私からかけ直しても出ない…。
でも、昼過ぎに龍也から電話がきた。
「もしもし。今更何?振るんだったらけじめ位つけてよ。」
「ゴメン。携帯止まって朝、金払いに行って復活した。
亜希勘違いし過ぎ。俺が亜希のこと嫌いになるわけ無いだろ?
ってか俺の性格からして、こんな振り方するわけねーじゃん。
俺、別れねーよ?」
聞いた瞬間涙が止まらなかった。
何が起こったか理解不能だったけど、
「じゃぁ、またメールも電話も出来る?また会いに行ってもいい?」
「いいに決まってんだろ。泣くなよ。」
こうして私達は再スタートした。
また、幸せな日々が続く。
…そう思っていた。
まさか、こんなに早く終わるなんて思わなかった。
再スタートしたことを友達に一斉メールし
龍也とメールをしていた。
仕事の合間に返してくれて、仕事帰りの車の中から電話もしてくれた。
でも、何か変…。
何でわざわざ車の中から電話するの?
それだけじゃない。
家に着くからと電話を切ったあと、夜の11時を過ぎるまでメールが無い。