「何か、機嫌悪くない?どぉしたの?」
「…いや。仕事のことだから。大したことじゃないよ。」
「そっか。何かあったら言ってね。」
「ぁりがとう。ゴメンね。」
ホントは機嫌ガ悪い理由が気になったけど
龍也が気にしないでほしそうだったから
気にしないようにした。
いつものように公園に車を停めてしばらくして
龍也の電話が鳴った。
「ゴメン。ちょっと出るわ。」
龍也は車から降り、電話に出た。しばらくして
「会社から。マジ俺今の会社辞めて鳶に戻ろうかな。」
龍也は今の仕事の前は鳶をやっていた。
この時、龍也が嘘をついてることはわかったけど
龍也に嫌われたくなくて、
あまりに悲しそうな顔をするから、
何も聞けなかった。
「亜希。俺とずっと一緒にいろよ?離れんなよ?」
いきなり龍也が言ってきた。
「うん。龍也もだからね。」
私はこの時
龍也が私のことを思ってくれている以上
龍也の言っていることに嘘が混じっていても
龍也を信じることに決めた。
龍也は相変わらず辛そうな顔をしていたが
気がつかないふりをした。
でも、龍也の携帯を見るとストラップが無い。
「ねぇ、龍也?私があげたストラップは?」
「…家に置いてあるよ。仕事で切れちゃうと嫌だから。
大切なものだから切れると困るから。」
明らかに様子が変だった。
それでも私は、龍也の言葉を信じていた。
「そろそろ時間だ。帰らなきゃ。」
私が言った瞬間、龍也が私に抱きついてきた。
そして、辛そうな顔をしてキスしてきた。
今までで1番長くて、気持ちの入ったキスだった。
この時、私は想像もしてなかったけど、
龍也はきっとわかっていたんだよね?
これが最後のキスで
龍也に抱き締めてもらうことも会うことも出来なくなることに…。
次の日の朝。
いつも着ているはずの龍也からのメールが着ていない。
私は心配になったから龍也にメールを送った。
しかし、返信は来ない。昨日は普通にメール返してくれたのに…。
私が何回メールしても返信は来ない。
電話しても、
<お客様のご都合で電話に出られません。>
音信不通になった。
龍也の友達に電話しても
最近仕事が忙しいみたいで連絡とっていないと言われた。
龍也と付き合って私は龍也への気持ちが
自分ではコントロール出来なくて
重く感じて振られた。
こう思った私は最後の賭に出た。
こんなメールを送った。
<私大好きだったし、信頼してた。
今もその気持ちゎ変わらないょ。
だからこそめんどくさくてしつこくし過ぎたみたぃ。
でももぅ今日で解放するね。
もぅ、気持ちが私に向いてなぃこともゎかってたけど、
必死にしがみついてぃくつもりだった。
でも想像以上に辛かった。
本気になりすぎたみたぃ。
こんな私と付き合ってくれてホントにぁりがとぅ。
カッコ悪いけどまだ、私のことまだ少しでも好きなら
今書いたことゎ全部取り消す。
ゃっぱ諦めきれないから私ゎ最後のかけにでます。
このメールだけはちゃんと返信して下さい。>
このメールの返信が9:30までにこなければ、振られたと認識します。
と添えて…
だけど、9:30になってもメールは来ない。
…私は振られたんだ。
<今までぁりがとう。
龍也は、私の初恋だったから恋愛の仕方がわからなくて
色々迷惑かけてごめんなさい。
でも、別れたいならちゃんとけじめはつけて欲しかった。
元気でね。>
最後のメールにするつもりだった。
このまま別れていたら、どんなに楽だったかわからない。
この別れ方だったら、友達に戻れていたかもしれない。
もう、関わりを一切もてなくなることは無かったかもしれない。
知らぬが仏とはこの別れの真実にぴったりの、ことわざに思えた。