本当に大好きだった<完>



龍也にも聞いたが、この先ミュージックプレイヤーが見つかることはなかった。

でも、私はミュージックプレイヤーより

親バレの方が重要でどぉでもよくなっていた。

でも龍也が

「俺、あゆ好きだからあゆ歌ってる亜希見たいな。」

と言われ、あゆの曲をいれていたから

龍也にあゆの曲を聞かせることは出来なくなったけど。



でも今考えると、この時親バレして別れていた方が

ずっと楽だったね。

ずっと一緒にいるって約束してくれた龍也との別れが

迫っていたことなんてわからなかったよ。

龍也のことを嫌いになれたら、こんなに苦しい思いはしなかったよ。

最後まで愛してくれたから

私は最低な龍也を嫌いになれなかったんだよ。



無くなったミュージックプレイヤーは諦めて

放課後にメールをして次に日曜日も龍也と会うことになった。

しかも

<日曜日、俺仕事休むよ。朝から会ったことないし、朝から会おう。>

とメールをくれて金曜日まで超機嫌良く過ごした。



でも土曜日に

「ゴメン。昨日社長と喧嘩して、今日仕事休んだから

明日夜しか会えない。ゴメン。」

こんなことを電話で言われ

私の機嫌は一気に悪くなっていった。

この時から、龍也の私への態度は変わっていった。

正式にいうと変えざるをえなかったのかもしれない。



結局龍也とは日曜日の6時から会うことになった。

機嫌が悪かった私も時間が近づいてくると

機嫌も戻り、龍也と会うときにはご機嫌だった。

でも、龍也の機嫌ガなんかおかしい。



「何か、機嫌悪くない?どぉしたの?」

「…いや。仕事のことだから。大したことじゃないよ。」

「そっか。何かあったら言ってね。」

「ぁりがとう。ゴメンね。」

ホントは機嫌ガ悪い理由が気になったけど

龍也が気にしないでほしそうだったから

気にしないようにした。



いつものように公園に車を停めてしばらくして

龍也の電話が鳴った。

「ゴメン。ちょっと出るわ。」

龍也は車から降り、電話に出た。しばらくして

「会社から。マジ俺今の会社辞めて鳶に戻ろうかな。」

龍也は今の仕事の前は鳶をやっていた。

この時、龍也が嘘をついてることはわかったけど

龍也に嫌われたくなくて、

あまりに悲しそうな顔をするから、

何も聞けなかった。



「亜希。俺とずっと一緒にいろよ?離れんなよ?」

いきなり龍也が言ってきた。

「うん。龍也もだからね。」

私はこの時

龍也が私のことを思ってくれている以上

龍也の言っていることに嘘が混じっていても

龍也を信じることに決めた。



龍也は相変わらず辛そうな顔をしていたが

気がつかないふりをした。

でも、龍也の携帯を見るとストラップが無い。

「ねぇ、龍也?私があげたストラップは?」

「…家に置いてあるよ。仕事で切れちゃうと嫌だから。

大切なものだから切れると困るから。」

明らかに様子が変だった。

それでも私は、龍也の言葉を信じていた。