「龍也とはどういう関係ですか?」
「…ぃや。5月位に告白されて付き合っていますけど。」
{だって、事実だもんね?私達付き合ってるよね?}
「やっぱり、そぉなんだ。
今日龍也が携帯忘れていったから、携帯見たんだけど
あなたとまだ別れてないみたいだったから電話かけたの。
でもあなたのことはもっと前から知ってた。」
{だから、龍也の行動がおかしかったってことか…。
最初に龍也の奥さんがおかしいって龍也に言ってから
私に対しての態度が変わったんだ…。}
{待って。今更だけど妻ってことは龍也は既婚者?それ聞かなきゃ。}
「すいません。妻って…、結婚してるんですか?」
頭がごちゃごちゃの私は
あり得ないほど冷静だった。
「子供もいますけど。ってかあなた何も知らなかったの?」
{何も、って妻子持ちどころか
彼女いたら普通付き合わないよ。}
「知りませんでした。私龍也と縁切ります。」
「車の後ろのベビーカーとか気がつかなかったの?」
{何それ?そんなの無かったよ。
…けど、いつも車が前しか乗れないようになっていたのは
ベビーカーを隠すためか。}
「気付きませんでした。」
「もぉ、今後一切龍也と関わらないでくれる?」
「勿論です。
…それでは失礼します。」
わずか3分位の会話だったと思う。
私は頭が整理出来ないまま学校へ行った。
でも、頭ではわかっていなくても体にでた。
気持ち悪くなってすぐ保健室へ。
微熱がでて早退した。
私はとりあえず、龍也の友達に電話をした。
「もしもし。亜希子です。」
「おぉ。久しぶりじゃん。どぉした?」
「龍也って何者ですか?今日龍也の奥さんから電話かかってきたんですけど。」
「…嘘。」
「ホントです。こんな嘘つきません。龍也は結婚してるんですか?」
「してるよ。
結婚式も呼ばれてないし、相手の子は名前と年しか知らないけど
かなりきつい子らしい。」
「奥さんと子供のこと教えて下さい。」
「名前は麻由で年は亜希子ちゃんとタメ。子供は悠斗だったかな。」
「ぁりがとうございます。」
「龍也は亜希子ちゃんのことホントに好きだったし
亜希子ちゃんのこと、今までの彼女で1番好きだったよ。
でも龍也は最低だな。」
{ホント最低だよ。でも聞きたくなかった。
どうせなら、遊びだったって言ってよ。余計悲しくなるじゃん。}
「色々ありがとうございました。
途中できつい口調になっちゃってすいませんでした。」
「まぁ、龍也より良い男は沢山いるよ。例えば俺とかね(笑)
辛いだろうけど、頑張って。」
「龍也は最低なんで、全然大丈夫です。ありがとうございました。」
「いーえ。じゃあね。また、いつでも連絡してね。」
最後は強がって龍也のことを忘れたように言った。
そして、龍也の友達とも連絡をとることはなくなった。
私の恋はホントに終わった。
最後は龍也にさよならも言わずに…。
龍也に伝えたいことなんて、山ほどあった。
お互いが求め合ってるのに、離れなきゃいけないことが
こんなに辛いことだって思わなかった。
また、愛してるって言って抱きしめて欲しかった。
私が納得いくまで騙し続けて欲しかった。
でも、この時は悲しいとか寂しいとは全然思わなくて
何が起こったかわからない放心状態だった。
現実を受け入れられなくて涙も出なかった。
でも、龍也のことを非難しながらも
私を支えてくれた友達には連絡しなければならなかった。
支えてくれた友達は沢山いた。
その中でも、紅と美紀には直接電話で伝えた。
恋愛よりも、私のことを心配してくれた。
龍也のことが嫌いでもいつも味方でいてくれた。
時には、厳しく怒ってくれた。
私は友達が居なかったら
この恋愛を乗り越えられず、どぉなってたかわからない。