だけど、9:30になってもメールは来ない。
…私は振られたんだ。
<今までぁりがとう。
龍也は、私の初恋だったから恋愛の仕方がわからなくて
色々迷惑かけてごめんなさい。
でも、別れたいならちゃんとけじめはつけて欲しかった。
元気でね。>
最後のメールにするつもりだった。
このまま別れていたら、どんなに楽だったかわからない。
この別れ方だったら、友達に戻れていたかもしれない。
もう、関わりを一切もてなくなることは無かったかもしれない。
知らぬが仏とはこの別れの真実にぴったりの、ことわざに思えた。
龍也と音信不通になってから2日が過ぎた。
この日は日曜日で、昼前に起きると
着信履歴が7件…。
全部龍也だった。
私からかけ直しても出ない…。
でも、昼過ぎに龍也から電話がきた。
「もしもし。今更何?振るんだったらけじめ位つけてよ。」
「ゴメン。携帯止まって朝、金払いに行って復活した。
亜希勘違いし過ぎ。俺が亜希のこと嫌いになるわけ無いだろ?
ってか俺の性格からして、こんな振り方するわけねーじゃん。
俺、別れねーよ?」
聞いた瞬間涙が止まらなかった。
何が起こったか理解不能だったけど、
「じゃぁ、またメールも電話も出来る?また会いに行ってもいい?」
「いいに決まってんだろ。泣くなよ。」
こうして私達は再スタートした。
また、幸せな日々が続く。
…そう思っていた。
まさか、こんなに早く終わるなんて思わなかった。
再スタートしたことを友達に一斉メールし
龍也とメールをしていた。
仕事の合間に返してくれて、仕事帰りの車の中から電話もしてくれた。
でも、何か変…。
何でわざわざ車の中から電話するの?
それだけじゃない。
家に着くからと電話を切ったあと、夜の11時を過ぎるまでメールが無い。
今までとは違う明らかに変な龍也の行動。
でも、龍也のことを信じてた私は特に何もしなかった。
龍也のことをここまで信じていたのは
龍也が教えてくれたホントの恋愛にあった。
[最初はお互いに好きなだけでいい。
でも、好きなだけじゃどちらかの気持ちが冷めたらそこで終わり。
それは、餓鬼の恋愛。遊びの恋愛。
お互いに信じあっていなきゃ意味がない。
好きだけど、それ以上に信じ合うのが本気の恋愛。
だから、俺は亜希のこと本気で信じてる。]
でも、メールと電話で明らかおかしいこと思った私は
偶々塾だったこの日。龍也に電話した。
龍也は仕事がちょうど終わった時だったらしく
すぐに電話に出てくれた。
「もしもし?どぉした?」
「最近龍也おかしくない?
何か態度が明らかに変なんだけど。浮気してない?」
「それは、最近仕事が忙しいからだよ。
浮気なんかしてないし亜希だけだから。
寂しい思いさせてたらゴメン。」
プライドの高い龍也がこんなに素直なこと自体おかしかったけど
亜希だけだと言ってくれた龍也を信じるしかなかった。
やっぱり私は龍也のことが好きで、離れたくなかったから
苦しくても信じるしかなかった。
その日の授業は友達に慰めてもらい、出席できた。
でも、友達が居なかったら私は泣き崩れていたかもしれない。
こんなに苦しい思いは初めてだった。
相変わらず龍也の行動はおかしかったが
何事もなく過ごし、龍也のことを信じると決めてから楽になった私は
幸せな日々を過ごしていた。
ただ、仕事が忙しいと言って会えなかったのは寂しかったけど。
まさか、一気に地獄に突き落とされるとは思わなかったよ…。