“星南学園”

そう校門には記され、敷地内には雄大な校舎が立ち並ぶ。
私は今日から、この高等部に通うことになっていた。

といっても、校舎は中等部の隣にあるし、外部入学者もほとんどいない。だから実質的に、生徒の大半にとっては中等部とほとんど変わらない。

だけど私にとってこの高等部進学は、中等部の3年間とはまるで違う生活になりそうだった。

理由は、旭ちゃんの存在。
彼女の姿はもう、この学園にはない。もちろん、家に帰ったとしても彼女はいない。

双子の姉である旭ちゃんとは、中等部の3年間、ずっと一緒だったのだけれど。

中等部3年の冬、担任から聞かされた旭ちゃんのこと。藤宮大附属高校という全国的に有名な進学校から、旭ちゃんに推薦の話がきているという事実。

一瞬脳裏を過ぎったのは、一度過去に経験したことがある旭ちゃんとの別れだった。平均並の私の頭じゃ、旭ちゃんを追いかけては行けないから。