だから、ねえ、きみは。
自分が何を言っているかわかっているの?
きみこそ、私があの日に言ったことを覚えてないの?


「私、誰も好きになっちゃいけないって、あの日、言ったよね?」

「はい。言っていましたね。」

「っ!だったら、何で、」

「オレも、言ったじゃないですか。オレが、雫先輩の支えになりたいって。雫先輩のこと、放っておけないって。」


私の言葉を遮るように、大谷くんは堂々とそう言い放つけど。
だめ。だめなんだよ。私にそんなふうに言ってもらう資格はない。一度、大谷くんを、自分の保身のために利用したのだから。


「……そう思うなら、もう私に構わないで。」


もうこれ以上大谷くんの顔を見ていられず、視線を落とす。精一杯振り絞った拒絶の言葉は、掠れて震えた。