黙りこくってしまった雫をカフェ内に残し、うっとおしいほどの日差しを降らせる外へと出る。じりじりとした日光に肌が焼けそうな気がした。


「終わったんか?」


そんな中、背後でドアが閉まりきる音と同時にあたしにかけられた声。誰の声かなんて、そんなの考えなくてもわかって。どうしてあいつがここにいるのよ。まったく、油断も隙もあったものじゃない。


「……つけてたの?悪趣味。」

「そう言いなさんな。見つけたのはたまたまじゃき。」


くくっと噛みしめるように笑うのはいつも通り。相変わらず何を考えているのか真意は読めない。でもだいたい、こいつの行動を理解しようとすること自体が馬鹿馬鹿しく思え、あたしを見つめる椎名を無視して歩き始めた。
……まぁ、案の定やつがついてきたのは言うまでもないけれど。

一歩半ほどあたしの後ろを歩く椎名を気にすることなく携帯を開けば、時刻は午後3時を過ぎていた。今日は休日だったし、この時間なら彼の部活も終わっているであろうとふんで、電話をかける。2コール後、爽やかな声が鼓膜を揺らした。