「別に、ムリしなくていいんだよ」
「ムリなんかしてない」
「でも…」
「前に言ったでしょ?相手の体温と心臓の鼓動をどう感じるかの問題だって」
「うん」
「それ、なんとなく理解出来たんだ。そしたらなんか、好きな人とのキスしてみたくなった…っていうか。とにかくあんたが思ってる以上にあたし、あんたのこと好き」
「なにそれ。変な理屈」
「別に理屈じゃない。恋人が好きあってするキスって」
「もういいよ。そう、好きあってのキスは…
目、閉じて。恥ずかしいから」
「ん」


そう、好きあってのキスは…


答えは、あなたが大切な人とするキスの中にあるはず。



夕日で赤く染まる河川敷に、2人のシルエットが重なる。
長く、静かな、あたたかいキスがここにある。




おわり