わたしを抱き留めてくれた人はわたしをゆっくりと離す。

「えっと、大丈夫?」

その人は髪が短くあまり綺麗に纏まってはいなかったけどそんなことが気にならないほど顔が良かった。

そんな顔を歪めてわたしを心配そうにみる。

「はい、大丈夫です」

わたしの心配はまだドキドキしていてこう答えるのが精一杯だった。

「そっか。良かった」

そう言うとその人は目を細めて笑い立ち去ろうとする。