「リューネ、眠れないのかい?」





ベッドの上で横になりながら大江先輩が見ていた。





「考えてたの。これからのこと」





「リューネは心臓外科医になりたいんだろう? リューネなら大丈夫」





そうじゃないよ、先輩。





私は言えずにいた。





自分のことなど顧みないで彼は他人の幸せを祈っている。





自分の望みは叶わないと信じているのだ。






「本当は迷ってる。まだ先の話だから悩んでも仕方ないんだけどね」





だからせめて、目の前にいる哀れな少女の願いが叶うようにと祈っている。





窓に映る蒼い空が白み始めていた。