三人分の飲み物を抱えて個室の扉を開けようとすると、泣き声が聞こえていた。





嗚咽を繰り返しながら喋ろうとするので何を話しているかはっきりと聞こえなかった。





その情緒に溢れた繊細なメロディを聞いていると、





「その病室に用かね?」





白衣を着た初老の医者が話し掛けてきた。





「あ、はい。友人の御見舞いに」





左胸に掲げる名札には、大江貴三郎、と書いてある。