それからリューネを迎えに行き、彼が収容された大学付属の病院までの道程でリューネが知る限り彼についての話を聞いた。





大学の住人であること、大学の中だけが彼の行動範囲であること、産まれてから記憶を失っていないこと、





先天性の精神病者だということ、そして彼の隣にいた精神科医の研究対象であること。





「でも、何で飛び降りたかわからない」





リューネが震えていた。





きらきらとラメの星屑が煌めく指先はきゅっと握った掌に食い込んでいた。





「会って確かめればいいさ。だって彼は生きているんだろう」





何も言わずに頷くリューネの横顔を緩く巻かれた黒髪が隠した。