「見て。キリンも夜更かししてる」





リューネがキリンの柵に走り出した所為で僕の思考は遮られた。





それと同時にどこかの扉が勢いよく開く音が宵に紛れた園内に響いた。





「リューネ!」





小声で叫んだ僕は彼女に駆け寄り手を取る。





監視カメラの方向を気にしながらキリン舎の影に隠れた。





僕らの来た道を戻るように緩やかな波型の曲線を描く懐中電灯を握り警備員が走り去っていく。





「何かあったのか?」





「さぁ? でもブレーカー落とす必要がなくなったじゃん」





「ダメだ。監視カメラの録画を止めないと」





僕らはもう一度月夜に飛び込んだ。