夏の北海道の空気はさらさらと乾いた風に包まれていた。





車イスを押しながら進む朝木動物園はゆったりとしたメロディと入場者の声で満たされていた。





私は大江先輩の部屋で動物の写真を眺めていた時のように、先輩のヒカルより詳しい解説を聞きながらいつもの会話を繰り返していた。





ペンギン館ではフンボルトペンギンとヒカルのこと。





アザラシ館では筒型の水槽を行き来するゴマフアザラシのこと。





ホッキョクグマ館ではプールにダイブするホッキョクグマのこと。





それから、キタキツネ、タンチョウヅル、トナカイ、ワピチ、エゾジカ、クジャク、オランウータンやチンパンジー、ニホンザル、クモザル、テナガザル。





カピバラ館の奥には管理事務所があった。