甘く気怠い感覚に包まれた頭の中では、まだ少女が黒い塊を抱きかかえている。





落ち着け、私。





彼女は私の心臓に宿る魂でも何でもない。





報われない恋をしてきた私が作り出した幻なんだ。





ヒトの記憶の曖昧さが産み出した都合のいい空想物。





金で買われて都合のいいオンナを演じる私の逃げ込む場所。





そんなモノに、支配されてはいけない。





私は決めたんだ。





全てを変えると。





月極リューネという存在。





心臓外科医という夢。





私の中の弱い私。





この旅の意味。





世界の最果てそのもの。