先輩の返事を聞いて微笑みかけた私は、





「いってきます」





とタバコを持ってバルコニーへ出る。





札幌市内の夜景はキラキラと輝いていたけど、今の私にはその美しさに感動する余裕はない。





アキタの脅迫を思い出すと、少し恐怖を感じてしまう。





こんなことで電話していいんだろうか。





タバコに火を点けて吸い込んだ煙を夜空へ吐き出す。





ケータイの画面に映し出された番号は、彼の優しい笑顔を思い出させる。





「タカムラさん………」