港に近付いたデッキでは下船の準備をし始めた乗客達が私に注目した。





「マキの代わりになってくれると思ったのに……」





私は最後まで言葉を聞かずに電話を切った。





「リューネ、大丈夫かい? 顔色がよくないよ」





隣にいる大江先輩は私の手を握って言った。





その大きな手が小さく震えていた。





「大丈夫だよ。大きな声を出してごめんなさい」





「オレは平気だよ」





そんなことはないはずだ。