北海道が近付いてきた頃、私のケータイからクラシックのメロディが響いた。





画面を見て少しだけため息を吐く。





「ツキノヒカリです」





「アキタフミオです」





私を買っていたベンチャー企業の社長だった。





「どうしても会ってくれないのか?」





ヒカルにメールを送ってから愛人契約していた五人に契約を打ち切る電話をかけた。





「もう、辞めたんです」





他の四人の契約者は割りとすんなり受け入れてくれたのに、アキタはそれからも何度となく電話をかけてくる。





そのたびに私は素っ気なく返した。