第11話 乾からびた犯罪をもう一度





私は生暖かい潮風が吹き抜けるフェリーのデッキで、ケータイに届いたヒカルからのメールを読んでいた。





「ヒカルからかい?」





初めての海を見ていた大江先輩が隣で私を見上げる。





「うん。ヒカル、元気だって。ペンギンと一緒だから」





「そうか。だったらペンギンも寂しくないな」





少しずつだったけれど落ち着いてきた彼は寂しそうに笑った。





「先輩、足は痛くない?」





もう何度と聞いた質問にも、





「ああ。大丈夫だよ」





と私に心配をかけないように言うようになった。