海岸から市内のホテルまでは夕方の渋滞で思ったよりも時間がかかったようだった。





リューネはそれを紛らわそうと彼の話を途切れることなく続けた。





その男は、タカムラ。





本名かどうかはわからないらしい。





けれどリューネは彼からの電話を心待ちにしている。





いつ鳴るかわからない自分を買う男の呼び出しを。





辿り着いたホテルの大きなシャンデリアあるエントランスに入るとリューネは慣れた手つきでチェックインを済ませた。





オレは車イスの上で目まぐるしく変化していく風景を記憶していくことで精一杯だった。