叫びながら彼に馬乗りになるトモエさんの声で我に返った私は注射器を構える彼女のサポートに入る。





「大江君! じっとしていて! すぐに済むから!」





もはや彼女の声すら耳に入らない彼の足が私の右腕を蹴った。





ギプスの堅さと重みが鈍い痛みを残したが堪えながら全身で足を押さえていた。





それから間もなく効き始めた精神安定剤によって眠りに落ちた彼にまたがったまま、トモエさんは泣いていた。





肩を大きく揺らしながら尽きることなく溢れる涙を拭いもしない彼女を、私はそっと抱き締めた。