「ワタシは大江君と一緒にはいられないの」





彼の握った拳が車イスを叩いた。





「―――なぜだ?」





「………アナタが、嫌いだからよ」





わかっていた。





二人が13年間を過ごしたこの空間に理由なんていらない。





そこにあるのは、二人の絆。





それを否定してまで突き放すのは精神科医と患者ではなく、人として向き合っていたから。





「………トモエ。―――トモエ………」