ぼーっと、ずっと
窓の外の春乃の姿を見ながら
部誌を書いていた。
部員たちはいつの間にか
パラパラと俺に「さようなら」と
軽くあいさつをして、帰って行った。

「あ、海人・・」

副部長の伽耶が話しかけてきた。
春乃しか見ていなかった俺は
驚いたが、冷静を装い返事をした。

「伽耶、どうしたの?こんな時間まで・・」

俺が伽耶と呼ぶのは
伽耶に呼べと言われたからだ。
それほど仲良くもなければ
・・・俺は興味がない。

「ぼーっとしてた」

「珍しいね」

それでも俺は
ニコニコと笑顔で返す。
まぁ、春乃の前で見せる笑顔とは違うけど。

「あのさ、ちょっと・・いい?」

「どうかしたのかい?」

伽耶は恥ずかしそうに
なんだか頬を赤くして俺に話しかける。