「…え?」
私は自分の耳を疑った。
「だから、転校するのよ。お父さんの仕事の事情で。」
私の家はいわゆる転勤族で、いままでも何度か引越しをくりかえしていた。
だから特定した友達も作れず、辛い思いを繰り返していた。
「でもここに来てからまだ半年しかたってないよ!?」
「お母さんだって嫌よ。でもしょうがないじゃない。それに、引越しもこれで最後らしいし。」
「でも!やっと今の学校にも慣れたし、あと少しで卒業なんだよ!?」
そう、私宮本 優華子は16歳。あと2ヶ月で卒業を迎えようとしていた。
「卒業まではここにいるけど、高校はここらへんでは無理ね。まあ、あなた頭良いんだし、大丈夫大丈夫♪」
お母さんは軽々しく私にそう言った。
「嘘であってほしい…」
でも嘘なわけもなく、あっという間に2ヶ月が過ぎた。