「ま、雅也!!ダメだよ彼氏と彼女なんて言っちゃあ!!」


「何で?」


「何でって…週刊誌とかに載っちゃったら雅也に迷惑が…」


「いいよ、俺は気にしないし。

今気になってんのは…さっきのキスなんだよね〜」


再びニコニコ笑う雅也


「さ、さっきのは…」


「………」

雅也はおもむろに私の頬を服の袖で拭き始めた。


「雅也!?」

ごしごしと拭かれる。


「…美香は油断しすぎ」

拭くのをやめて、私の目をまっすぐ見る。


「ご…ごめんなさい…」

私がこう言うと、雅也は柔らかい笑みをこぼして


「……帰ろうか」

手を差し伸べてきた。

私はその手を迷わず取り、歩き出す。