ヤナも工場に長く勤めている1人だった。



国軍が運営する戦機製造工場。

ここで戦争に使う全てのものを作る。

「ヤナ!お前は全く!気も遣えなければ仕事でも使えないんだな!!」

「すっ、すみません…」

怒鳴る工場長にペコペコと頭を下げるヤナ。


この情景は毎日のことだった。


周りの者はうんざりし、「またヤナか…」と呆れる者もいる。

「お前の事情も分かるけどな、ホントに役に立たなかったら工場にも住居にもおくわけにはいかなくなるからな」

「それはっ!……こっ困りますっ……」

焦って当初は強く言ったが、相手が工場長だと我に返って恐縮した。


その様子を見て「はんっ」と鼻で怒ったあと、工場長は別の現場の監督に向かった。



無造作に何もしていない髪をくしゃくしゃっと掻いて仕事にまわる。


仕事をしない限りはあの工場長に叱られっぱなしだ。

(働くしかない…。)

仕方なく戦車の内部の機械類に手を伸ばした。