「そんなの…ダメだよ……せっかく…「もう、荒れた世界は見たくないの」」

ユラはまた背を向けて話し出した。


その背中はヤナでは背負えないものを語っている気がした。

「ヤナには悪いけど、私はもう生きることに疲れたの。もう身体の原型なんて魔法を解けば何もないわ。200年、続いた戦争はもう発展も後退もしないわ。もう、安らかに眠らせて」

俯いたユラの背中に溜め込んでいた言葉を投げかけた。

「一方的に話して気がすんだらいじけるの?」

ヤナの少し低めな声にユラはピクッと身体を強ばらせた。


そのまま言葉を待っていると、次はいつもの声が帰ってくる。

「僕は、嬉しかった。必要としてくれたことが、………共に生きる喜びが」

その言葉にユラは目を細めた。


自分の望んでいたことなのに、胸に突き刺さる痛み─。

それを理解することは簡単だった。


でも理解したら、今までの苦労も…。

「ヘタレ、だからさ、あまりよくはできないけど…」

「ううん……」

背中を向けたまま返事を返した。

(今は顔を見られたくない……)