たどり着いたのは古く思い扉がついた、あまり使われた形跡がない部屋だった。


ユラが自ら扉を開け、中に入る。

「入って」

中で促されて歩みを進めた。


少しカビ臭いが、住めなくもないまともな部屋。

ベッドもホコリを被っていたものの、しっかりセットされている。

「彼が使っていた部屋なの。私が必死に頼んで残しておいてもらってるわ」

「…やっぱり、アンマズラをかけられていたんだね」

ユラは振り返ると悲しく笑った。

「彼は弱虫でね、ずっと苛められてたの。それを私はいつも助けてた。出会ったきっかけもそれ。だからこそ、彼は私を誰にも適わない不老不死にしたんだと思う」

窓に歩いて、そのホコリっぽいガラスに手をついた。

「解き方なんて誰にも分からない。だから私は生きるためにあの主に従わなくちゃならないけど、従わなくていいの」

「なんで?」

ユラは寂しい眼差しで振り返った。



「生きたくないから」



唖然とする声を漏らすヤナにユラは笑った。


だがヤナも引かない。