｢頼みは承諾ってことかな？｣

｢……別にいいですよ。でも、一度ﾕﾗと話がしたいんだ。一方的に話されてたら言いたいことが爆発しそうです｣

ﾕﾗの手を引きながら早足で歩き出すﾔﾅを見て、ﾐｸﾞﾚは追いかけようとしたが、ﾋﾉﾄはそれを制した。


｢ﾋﾉﾄ……｣

｢いい。戦場はお前に任せる。ﾕﾗは俺に任せろ｣

肩を叩いてﾋﾉﾄも去って行った。



Ⅰ



気付いたらﾔﾅはﾕﾗを引っ張って走っていた。

ただ怖くて、少しでも遠くへと動かないと本当に足が動かなくなる。


｢ﾔﾅっ、手が痛いよ……っ｣

｢……ごめん…っ｣


そう言いつつも、握っていた手はずっと離さなかった。



ﾕﾗと一緒にいることもある意味の精神安定剤だった。

｢どこに行くの…？｣

｢あの人たちから遠い、2人っきりになれるとこっ｣

そう言うと手の引く強さが緩み、ﾕﾗが隣に出てきた。


｢空き部屋があるの…そこがいい｣

囁くように話したﾕﾗの隣を走った。