そう言ってユラはヤナの横たわる台に座った。

ヤナの瞳にはユラの寂しそうな横顔が映る。


「200年くらい前かな、ある男の子が流浪の商人から大切な片見の替わりにマジックを買ったの」


彼女のその瞳は、その話の一部始終を全て見据えているように悲しく光っている。


「彼は大好きだった幼なじみの少女に一番最初に見せた。でも少女は喜ばなかった。『母の片見を売ってまでそんなものが欲しかったのか』と」

ヤナはユラの話し方に違和感を覚えていた。

(なんとなく……私情的な感情が入ってる気がする……………)


「それから男の子は彼女に納得してもらえるようにマジックを仕上げていった。そして出会ってしまった……暗黒魔法・アンマズラに…………」

そして今まで俯いて横顔を見せていた少女はこちらを向いた。

無意識にユラと目が合う。

「アンマズラはね、人を不老不死にするの」

「!?」

「男の子はね、それを早く見つけて大好きな母親に使えばよかったって言ってたわ。母親、軍の支援でお金になるものもなくて、病気で亡くなったの」

「…」