(なんだか…少したじろいてる?)


すると扉の方から一定のカツカツとした足音と、一定だがタタタッと軽い足音が聞こえてきた。



それに3人も振り返る。

振り返った頃には部屋の入り口にヒノトとユラが立っていた。

「おかえり、ユラ」

嫌みのようにミグレがユラに言葉を投げかけたが、ユラにそんなものは聞こえていなかった。


目が合ってユラは確信を得る。

「ヤナ…!」


ドサッ


駆け寄ろうとヒノトの脇をすり抜けたとき、咄嗟に足がもつれて倒れ込んだ。

「っ…」

起き上がろうとしても片足がいうことをきかない。

その右足を見ると、足首のところに黒い魔力が渦巻いていた。

「主人の脇を通り越して前を歩くとはどういうことだ?ユラ、代々の主人にもそうしてきたのか?」

「戦争ではあなたの前を歩いてる。それに、前の主人は優しかっ………っ!」

急に魔力が強まり、きつく締め付けられた。

「ヘリクツはいい。あと、今後ヤツの話をするな」