「でもまた早くユラを戻さないと、またこちらが押されている。…並みの魔術師は足止めにもならない」

「やはり人間には合わないのだろうな」

部屋の中心にある台にユラを寝かせて話すと、それまで沈黙を守っていたミグレが口を開いた。

ヒノトより2,3下で、少し暗い印象を持つ。

もっとも、短いが目にかかるような髪型をしているからだろうが。


ミグレは魔術師の育成を図っているが、あまり功績とはいえなかった。



魔術を管理し、もっとも理解しているのがこの空間にいる一族、ヒノト、ミグレ、ハノン・ハイマの4人である。

血が繋がっているわけではないが、代々にして魔術を操り、戦況を導いてきた。



そしてユラは…―。



「まぁいい。俺達はただ、この戦況を少しでも優勢にしていくだけだ。そのためにユラがいる」

動かないユラを見つめて、3人にアイコンタクトをした。


台の周りに集まったヒノト達は手を意識のないユラにかざす。



それぞれ特有の光を放ってユラに魔力を流し込んだ。

傷は塞がり、ユラにも意識が戻り始める。


「………やだっ……!」

ユラは声を絞り出した。


しかしその声は4人に届いていない。