DOLL

｢あの男、気絶してさっき到着したぞ？｣

｢！？｣

ﾕﾗは突然顔を上げた。

そしてﾋﾉﾄは目が合うと視線が下がりかけるﾕﾗを冷たく見据える。


｢こっちを見ろ、ﾕﾗ｣


見ようとしない様子を見ると、ﾋﾉﾄは歩き出して膝をつくとﾕﾗの顔を上げさせた。

｢どうして逃げたりした？強い呪縛がかかってたはずだが？｣

しっかりと捕まえて逃さない眼にﾕﾗは少し揺らいだ。


怯えるように見返すﾕﾗにﾋﾉﾄはｸｽｯと笑う。

｢そうか、そういえば閉口縛をかけていたな。全てを話せ、ﾕﾗ｣

ﾋﾉﾄの眼が光ったと思うと、ﾕﾗは口元が緩むのを感じた。



しかし、この時を待っていたように反論をする。

｢…なんで彼を連れてくるの！？関係ないわ！｣

｢巻き込んだのはお前だ。そんなことを言う資格はないんじゃないか？｣

もっともなことを言われ、ﾕﾗは言葉を失い口を閉じるしかなかった。


ﾋﾉﾄは鼻で笑って立ち上がった。

｢あんな弱虫な小僧なんかに会って何を得するんだか分からないってﾐｸﾞﾚも言ってたぞ｣