宙に持ち上げられて、改めて男の姿を見た。



水なのに形があり、もがけばもがくほど首に絡みついてきた。

「僕っ何も…っ!」

「してないって?なわけないでしょ」

缶から離れてヤナに絡みつく蛇の目の前に立った。

「ウチの娘だよ。彼女も僕も姿を見られたし、君は生かしておけない」

「ひっっ!!?」

男の言葉に反応して蛇が噛みついてこようとした。


が、ヤナの鼻先で止まる。
「と言いたいところだが、色々と事情がある。一緒に来てもらおうか?」

「…っど、どこに………っ?」

「………それも分からないのかこのヘタレは」

独り事のように呟くと、蛇を使って余計に高く上げた。

「わっわっ……まっ…」

「高くから落とせば気絶ぐらいするだろ」

「落と…気絶!?」

落とされることよりも、気絶という未知な世界に行くことが怖く、ヤナは暴れようにも暴れることができない状況に気付く。


(どのみち落とされる…!!)